ミニモニソング大百科1巻(ASIN:B000067UV2)



戦後の昭和歌謡がもっていた得体の知れないパワーのひとつには、あらゆるジャンルの音楽を力技で歌謡曲化して、大衆化してみせたところにあるのではないかと思う。サンバもマンボもルンバも全部歌謡曲に取り込んでいた。それは当時の日本にはまだそのままを受け入れる土壌もなく、ジャンルが歌謡曲しかなかったからである。
逆に今の時代というのは専門化、細分化が進みR&Bもヒップホップもなんちゃってではなく本物を聴くことができる。
ただしそのことはリスナーをも細分化し、ヒット曲でありながらもそのジャンルを聴かない人には縁のないものとなる。
一方で昭和歌謡時代の和田アキ子をR&Bとして正当再評価したりする動きもあったりする。


さてこのアルバムだ。
ジャンルとしてはブルース、ジャズ、レゲェ、トランス、ソウル、マーチ、童謡、体操、関西弁と多種多様なジャンルの音楽をタイトルにあるような”ミニモニソング”というオリジナルなジャンルに取込み変換をしているのだ。


「どこにもないものならば 作りましょう!」(ミニモニ。テレフォン!リンリンリン)
それがクリエイティブということだ。


一番わかりやすい表現で言うと「おもちゃ箱を引っくり返した」ということになるのだが、おもちゃと言って侮るなかれ。最近のおもちゃというのは実に精巧にできているのだ。同様にミニモニソングというおもちゃもおもちゃの域を越えた存在なのです。これを聴いて育っていく子供がうらやましい。


かつてのつんくワークスが大衆化を果たし、得体の知れないパワーをまき散らしていたのは、彼がそれまでに聴いてきた音楽をすべて”つんくソング”というオリジナルなカテゴライズをして、取り込んだ結果生まれたものでした。
それが近年は普通に「R&Bを作りました」などと言い出し、既存の流行ジャンル化をしてもそれは専門ではないのだから所詮なんちゃってでしかなく、ただいま絶賛迷走中。


これがつんくが”どこにもないもの”を作っていた最後の1枚なのかもしれない。




次回は回す相手もいない(いても同ジャンルの人になってしまう)ので、流れを変える意味も込めて執筆希望者からid:nobodyさんにバトンを渡します。よろしくです。


おまけ
候補だったもの
「KING OF ROCK」真心ブラザーズ
アメリカ大好き」KOJI1200
「ジョイホリック」市井由里(元NIGO夫人)
「スーパーモデル」篠原ともえ
「ANGRY FIST」Hi-STANDARD